就労ビザ申請の流れをわかりやすく紹介!

外国人労働者が日本で働くためには、就労に対応した在留資格、就労ビザが必要となります。ですが、就労ビザは法律上、本人が申請しなければなりませんし、実際に申請書にサインをするのも本人でなければなりません。

しかし、外国人労働者が1人で準備や申請をするには、複雑な点もあり、必要な提出書類を不備なく準備し、就労ビザをスムーズに取得するためには、企業のサポートが必要不可欠です。

そこで今回は、外国人労働者を雇用したい方が、知っておくべき就労ビザの申請方法について、行政書士がわかりやすくご紹介します。

就労ビザ申請の種類について

就労ビザ申請の3種類について

就労ビザ申請には、3つの種類があり、それぞれ申請の流れや必要書類が異なるため、どれに当てはまるチェックしましょう。

種類①:新規申請

海外の外国人の方を採用をして、来日してもらう場合は、就労ビザを新規に取得します。

種類②:変更申請1 在留資格に変更がなく勤務先を変える場合

就労ビザを元々持っている外国人を採用して、就労ビザを変えないまま勤務先を変える場合は、転職後14日以内に「所属機関等に関する届出」を出入国在留管理庁に対して行います。該当するのは「企業内転勤」「高度専門職」という就労ビザの2つで、これらは前職の会社で働くことを認められた就労ビザであるため、退職後に勤務先変更の申請が必要になります。

例)日本でシステムエンジニアとしてA社で働いていた外国人が、B社にシステムエンジニアとして転職する場合

種類③:変更申請2 在留資格が変わる場合

在留資格は持っているが、現在の在留資格では対応できない業務を行いたい場合は、在留資格の変更が必要になります。例えば留学生を採用する場合、留学ビザは「就労ビザ」ではないため、資格外活動を認めてもらう、または就労ビザに切り替える必要があります。留学から、技術・人文知識・国際業務や特定技能などに切り替える場合、在留資格変更許可申請を行います。

②と③のケースでは、求職者(外国人)本人が手続きを理解し、自分ですることが考えられますが、①については、日本で働くための手続きについてきちんと理解していない人が多いため、今回は主に①のパターンについてご説明します。

就労ビザは誰が申請するのか?

原則、本人が申請する

就労ビザは、原則として本人が申請します。特に、パターン②と③の場合は求職者本人が書類をそろえて申請に行くことがほとんどです。

ただし、手続き全般を外国人本人が理解しているとは限りません。申請が通らないと働いてもらうことができませんので、企業側のフォローも大切です。日本語の理解力などに不安がある場合は、書類作成の部分から企業がサポートすることは必須です。

求職者が日本にいない場合は企業が申請する

新規に在留資格を取得する①の場合は、求職者が日本にいないので、申請代理人として企業が「在留資格認定証明書」を申請する必要があります。取得した「在留資格認定証明書」は海外にいる外国人本人に送り、その先の就労ビザ申請は外国人本人が行います。

求職者又は雇用する機関の職員が日本に滞在している場合は申請取次者が代行することが可能

求職者又は雇用する機関の職員が日本に滞在している場合は、外国人の円滑な受入れを図ることを目的とする公益法人の職員で地方出入国在留管理局長が適当と認めるもの、地方出入国在留管理局長に届け出た弁護士又は行政書士、申請人本人の法定代理人が申請を代行することも可能です。

就労ビザの申請フローと必要書類

就労ビザによっても申請フローや必要な書類は異なりますが、今回は「技術・人文知識・国際業務」と「特定技能」を例にとって紹介します。

就労ビザを新規に取得する場合の申請の流れ

就労ビザを新規に申請する場合のフローをご紹介します。

  1. 在留資格認定証明書交付申請……日本の入国管理局(勤務予定地の管轄の地方入国管理局)へ申請します。外国人本人はまだ海外にいるので受け入れ先企業が代理人として手続きをします。標準処理期間は1〜3か月です。
  2. 在留資格認定証明書交付……日本にいる代理人(受け入れ先企業)に送付されます。
  3. 在留資格認定証明書を外国人本人に送付……海外にいる外国人本人に在留資格認定証明書を送付します。
  4. 在留資格認定証明書を在外日本公館で提示しビザ(上陸許可)を申請……外国人本人が行います。通常、申請受理の翌日から5業務日以内に発給を受けます。
  5. 在外日本公館にてビザ発給……原則として在留資格認定証明書交付日から3か月以内に日本に入国します。上陸港で在留カードを受け取れる場合もあれば、後日居住地に郵送される場合があります。

在留資格認定証明書とは、日本に在留する資格があることを法務大臣が証明した書類です。この書類があると、入国審査を簡単に済ませることができます。日本に到着してから入国審査を受けるとなると、何日もかかってしまい現実的ではありませんので、就労ビザをとる場合は在留資格認定証明書を取得しておくことが一般的です。

在留資格認定証明書交付申請に必要な書類

在留資格認定証明書交付申請では、以下の書類が必要です。

  • 在留資格認定証明書交付申請書
  • 写真(縦4cm×横3cm) 1葉
  • 返信用封筒(定型封筒に宛先を明記の上,切手(簡易書留用)を貼付したもの) 1通
  • 日本での活動内容に応じた資料

「日本での活動内容に応じた資料」とは

在留資格認定証明書交付申請には、日本での活動内容に応じた資料が必要になります。具体的には、就職する先の会社に関する資料などが指定されています。審査では、日本でどのような仕事をするのか、どういった会社で働くのかなど細かく調べられます。

就労ビザの審査期間はどれくらい?例として技術・人文知識・国際業務の統計を紹介

在留資格認定証明書交付申請をして、結局何か月後に日本に入国できるのでしょうか。単純に審査期間を合計するだけではなく、書類作成・収集期間も考える必要があります。

技術・人文知識・国際業務の審査期間について、出入国在留管理庁の平成29年分から令和元年分まで実施した審査期間の平均値は、在留資格認定証明書交付申請が38.9日、在留期間更新申請は29.7日、在留資格変更許可申請は39.8日となっています。

まとめ 

今回は、就労ビザの種類と申請方法、申請の流れについてご紹介しました。

在留資格の取得までには時間がかかります。在留資格認定証明書は有効期限が3カ月しかないため、交付を受けてから3カ月以内に入国しなければなりません。有効期限内に外国人本人がスムーズに入国できるよう、外国人本人に手続きをすべて任せるのではなく、企業としても積極的にフォローしていきましょう。また分からないことがあれば、許可を受けた行政書士や弁護士などに代行申請してもらうことも可能です。

就労不可の外国人が働いてしまった場合は不法就労となり、企業は不法就労助長罪で罰せられる可能性があります。就労ビザかどうか、認められた活動の範囲であるかの確認は必ず行うようにしましょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です