外国人労働者の出身国の内訳と今後の展開について

日本では深刻な人手不足から外国人労働者が急激に増加を続け2023年10月末には約204万人を突破しました。
近年では、外国人を雇用したい企業も増加傾向にあります。

そこで、外国人労働者の国別ランキング、割合、業種や職種、政府の統計を基に今後増加すると予想される国などについて解説していきます。

現時点での外国人労働者数と割合について

厚生労働省が発表している2023年10月末時点「外国人の雇用状況まとめ」を見れば、日本で働いている外国人の人数と割合について知ることができます。

外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末現在|厚生労働省

グラフの通り、ベトナムが最も多く518,364人、次いで中国397,918人(の19.4.%)、その次にフィリピン226,846人(11.1%)となっております。
2019年までの労働者数は中国が最も多かったですが、2020年以降はベトナムが最も多い国となっております。

では、在留資格ごとではどの国が最も多いのか、引き続き見ていきましょう。

労働者数の最も多いベトナムは

ベトナムは「特定技能」・「技能実習」ともに一番多い国となっております。

外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末現在|厚生労働省

技能実習生が一番多いのはベトナムで、技能実習生の半数以上はベトナムが占めています。

その他在留資格について詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。

在留資格ってどんな種類がある?在留資格まとめ

特定技能在留外国人数の公表(令和5年12月末)|出入国在留管理庁

2023年12月時点で、全国で208,425人、そのうちベトナムは110,628人が特定技能1号外国人として働いています。
2019年7月には、ベトナムと日本との間で、特定技能外国人を適切に送り出し・受け入れるための協力覚書(MOC)が交換され、特定技能のベトナム人労働者は今後も増加すると思われます。

第2位の中国は「技術・人文・国際業務」が多い

在留資格のうちの一つである「技術・人文・国際業務」の在留資格で働く外国人労働者は、全国に366,168人、そのうち中国が113,016人で圧倒的です。「技術・人文・国際業務」の資格は、エンジニアやオフィスワーカー、通訳として働くケースが多い在留資格となります。

第3位のフィリピンは身分系在留資格(永住権・定住者など)最多

フィリピンは日本での永住者・定住者など、身分に基づく在留資格が非常に多い国です。2023年10月末時点で、149,975人が、身分に基づく在留資格で働いています。以前はブラジルが最多国でしたが、フィリピンが増加したことで現在では2位、そして3番目に多いのが中国となっています。

今一番増加しているのはどこの国


外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末現在|厚生労働省

近年の対前年増加率が大きい主な3か国をみると、インドネシア、ミャンマー、ネパールの順に増加しております。

この3つの国に共通する特徴としては、母国の賃金水準が低いという点です。母国で働くよりも日本で働いた方が労働者にとってより高い収入を得ることができるため、多くの労働者が日本へ来て働いています。

今後はどの国の労働者が増えていくのか

経済発展が進むと、国内の給与もそれに伴い上昇します。中国がその良い例でしょう。先ほども述べた通り、日本における中国の外国人労働者の増加率は停滞しており、業界によっては日本人の平均給与で採用できない場合もあります。

では、今後はどんな国の外国人労働者が増えるのでしょうか。

ポイントは以下の3つです。

  • 日本との給与水準の差が大きい国
  • 海外へ出稼ぎが一般的な国
  • 自国の労働生産労働人口が多い国

詳しく説明していきます。

日本との給与水準の差が大きい国

先ほども述べた通り、自国の給与水準が低い場合は日本で働いたお金を本国に送金することで大金になりますが、逆の場合は金銭面で働くメリットはありません。

まだ経済発展の余地があり、日本と比較して給与水準が低い国は、労働者にとっても日本で働く魅力があり、企業側としても低コストで人材を採用できるというメリットがあるため、採用しやすくなります。

海外へ出稼ぎが一般的な国

外国人材の採用をする際、「他国への出稼ぎが一般的でない国」からの採用は非常にハードルが高いことは想像に難くないでしょう。海外での就職のための制度やフォローが整っていない可能性が高く、また、わざわざ海外で働く理由がない、国内就職で充足しているということです。

近年日本から海外へ短い期間働く「ワーキングホリデー制度」という言葉をよく耳にするようになりましたが、日本人の場合は、海外で働くということは一般的ではないという印象があります。

自国の労働生産労働人口が多い国

理想は、「他国へ働きに出ることが一般的な国」で、なおかつ「自国の労働生産人口が多い国」でしょう。若者自体がたくさんいる国であれば人材確保のハードルが下がります。逆に、高齢化の進む国からの採用は避けるのが無難です。高齢化の進む国では、働き手が少なくなっていくので、現在の日本と同じような状況になることが予想されるからです。

日本は高齢化が大きな問題となっていますが、2022年時点のフィリピンの平均年齢は24歳となっております。

以上の条件を考えたときに、おそらく今後は、増加率が高くなりつつあるフィリピン、インドネシア、ミャンマーやネパールなどの東南アジアが採用において注目される国となっていくことでしょう。ぜひ、今後の採用の参考にしていただければと思います。

まとめ

今回は、外国人労働者の受け入れ状況から今後の動向まで解説しました。

現在日本における外国人労働者の人数だけ見ればベトナムがトップですが、今後継続的に外国人の採用を考えるのであれば、労働者の自国の環境にまで目を向ける必要があります。

企業にとってのポテンシャルの高い外国人労働者とは、労働力人口が多く、海外で働くことが一般的な国の労働者です。

世界の動向を見つつつ、一歩先を見据えた外国人材採用活動を進めていきましょう。

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