外国人採用のメリット・デメリットをわかりやすく解説

外国人雇用は、今後の人手不足対策として注目を浴びていますが、日本人を雇用するときとは違う独自のルールがあることから、不安に感じたり、わからないことが多いという声を聞きます。

そこで、本記事では行政書士の私が外国人採用の基礎知識をメリットや注意点、雇用可能かどうかの判断方法、知っておきたい法律を解説していきます。

外国人採用の需要とメリット・デメリット

皆さんご存知だと思いますが、外国人採用の需要は年々増加しています。ご自身の住んでいる街中を見渡しても、外国人を見かけることが多くなってきたと思います。

外国人雇用状況の届出状況によると、令和5年10月末次点での外国人労働者数は2,048,675人、前年比225,950人増加となり、届出が義務化された平成19年以降、過去最高を更新しました。

進み外国人採用の需要が増加している一番の理由は「日本人の求人募集をおこなっても応募がない」ということ。原因として、日本の高齢化が進み、若い人材が少ないからというのもあるでしょう。

観光庁によると、人手不足を契機に求人を募集した企業のうち約60%が「募集しても、応募がない」と回答しています。その傾向は三大都市圏以外で特に強く、飲食サービス業や宿泊業では非常に多くなっています。私が先日旅行に行った時に泊まった旅館では、すでに外国人の方を雇用していました。

このような理由から、外国人を対象にした採用に需要が出てきているというわけです。ですが、外国人採用にはメリットもあればデメリットもあります。

外国人採用のメリット・デメリットを見てみましょう。

<外国人採用3つのメリット>

メリット1、若手の人材を確保しやすい
メリット2、地方でも応募が集まりやすい
メリット3、助成金など活用が可能

外国人採用の最も大きなメリットは、若手の人材が地方であっても集まりやすい点といえるでしょう。もちろん外国人も都会を好む傾向にありますが、そのほかの条件面が良かったり、交通の便が整っていたりすることで応募の可能性が高くなります。国や地方自治体からの助成金もあり、活用できる点も魅力的です。

外国人採用4つのデメリット

デメリット1、文化や習慣の違いがあり、フォローが必要
デメリット2、スムーズに意思疎通をはかれないことがある
デメリット3、在留資格の取得や雇用の手続きなどの工数が発生・入社までに時間がかかる
デメリット4、外国人雇用の知識が必要になる

外国人採用において多くの方が懸念している通り、意思疎通がスムーズに出来ない場合があります。これは日本語能力の問題だけでなく、文化や習慣の違いを背景としていることも多くあり、宗教などの信仰への配慮も必要です。

また、応募は比較的早く集まりますが、渡航準備や在留資格申請があることで日本人よりも入社に時間がかかります。採用決定後、来週から働いてくださいというわけにはいきません。日本人にはない雇用のルールを担当者が覚える必要もあります。

このように外国人採用にはメリット・デメリットがあり、これらを認識した上で採用を行いましょう。メリットだらけではありませんが、今後さらに少子高齢化が進むことを考えると、より一層採用競争が激化する前にはじめることをお勧めします。

外国人採用で最初に知っておくべきこと

外国人の採用は日本人の場合と違った独自の手続きや法律があります。

ここからは、外国人採用を行う前に必ず知っておくべきルールをご紹介しましょう。

①雇用できる外国人と雇用できない外国人がいる

雇用ができる外国人とは…

【日本で雇用できる外国人の条件】

(1) 在留カードを所持している
(2) 就労が認められている在留資格である
(3) 在留期限が切れていない
(4) 業務内容が在留資格で認められた範囲内である

上記を満たしている人を指します。ここからは詳しく見ていきましょう。

1.在留カードを所持している

在留カードとは「外国人にとっての身分証明書」のようなもので、日本に3カ月以上滞在する外国人に交付されます。カードには名前や国籍、生年月日、住所、16歳以上の場合は顔写真も載っています。外国人は在留カードを常に持ち歩くよう義務づけられており、不所持の場合は不法残留者とみなされて罰則があります。

在留カードをきちんと所持している外国人でなければ、企業は採用してはいけません。

在留カードについて詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。

在留カードの更新、必要書類ついて詳しく解説!

2.就労が認められている在留資格である

外国人の方によっては、日本で「働くこと」が認められていない場合があります。就労可能かどうかは、「在留資格」でわかります。

「在留資格」とは、ひと言でいうと外国人が日本に滞在するための資格です。外国人が日本に在留する間に一定の活動を行うことや、一定の身分や地位があるということを認めた出入国管理及び難民認定法における資格のことを指します。種類は29種類ありますが、大きく分けて活動制限の少ない身分または地位に基づく在留資格と、活動内容や在留期間などの制限を受ける在留資格の2種類があります。どの在留資格を得ているかは在留カードに記載されています。

就労が認められている在留資格は、一般的に「就労ビザ」と呼ばれています。

3.在留期限が切れていない

日本に滞在できる期間(在留期間)は法務省によって決められており、在留期限が切れている外国人を雇用することは違法行為とされています。発覚した場合、外国人本人が強制退去になることとなり、企業も不法就労助長罪で罰せられる場合があります。

在留期限は、在留カードで確認することが可能です。

4.業務内容が在留資格で認められた範囲内である

「在留資格」において、外国人は日本で働く業務内容についての範囲が決められています。

また、就労するための在留資格を、通称「就労ビザ」と呼びますが、就労ビザにもさまざまな種類があり、認めている職種や業務内容が違います。例えば、就労ビザの代表格と言われる「技術・人文知識・国際業務」は専門性が必要な仕事で働くことを認めるものなので、単純労働不可となっています。

そのため、活動内容にあった在留資格であるかを、採用前に確認しておく必要があります。就労が認められていな、認められている範囲ではない業務で外国人が働いてしまった場合は不法就労となり、強制退去となるなど厳しい処分を受けることとなります。

②基本的に待遇は日本人と同じでなければならない

外国人採用をする上で知っておくべきことの2つ目は、外国人は安く雇用することできるわけではない、ということです。ここを勘違いしている方多いのではないでしょうか。労働基準法の最低賃金法や同一労働同一賃金は日本人と同じように適用されます。外国人を不当に安い金額で雇用していいわけではありません。

③違法な雇用は日本人雇用と同じく企業も罰せられる

外国人であっても法律は日本人と同じように適用され、国籍に関係なく労働者は法律によって守られています。労働基準法などを犯した場合は日本人の場合と同じように企業に罰が与えられます。

また、外国人雇用の場合は「不法就労助長罪」といった、文字通り外国人の不法就労を助長するような行いを罰する法律で、対象が企業となります。先ほども説明しましたが、不法滞在をしている外国人を雇用した場合もこの不法就労助長罪に該当します。

外国人雇用はきちんとルールをしっておくことが重要です。

「不法就労助長罪」は外国人を雇用する企業が必ず知っておかなければならない法律です。

まとめ

今後、日本の高齢化が進んでいき、外国人労働者の需要は増えていきます。この現象はすでに起きていますが、今後間違いなく加速していきます。

外国人を採用する上ではメリット・デメリットや法律を理解することが大切です。

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