在留資格「技能」の概要や取得要件、必要な手続きなどを解説

在留資格の中には、「技能」、「特定技能」、「技能実習」があり、どの在留資格にも「技能」という文字が付いているため混乱する人も多いのではないでしょうか?今回は在留資格「技能」の概要や従事できる業務、取得要件、「特定技能」や「技能実習」との違いなどをまとめて解説していきます。

在留資格「技能」の基本知識を押さえたいという方は是非一度最後までお読みください。

在留資格「技能」とは

まずは在留資格「技能」の基本的な内容からお話していきます。

在留資格「技能」の概要

在留資格「技能」とは、「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う、産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動」のための資格となっています。

就労系在留資格の一つであり、高度外国人材として扱われる専門的、技術的分野の在留資格でもあります。

在留資格「技能」で該当してくる職種は多岐に渡ります。次項で詳しく説明します。

在留資格「技能」で従事できる業務

在留資格「技能」における産業上の特殊な分野は3つに分かれており、その上でそれぞれの分野に該当する職種が設定される形になっているのです。

具体的には、以下の9つの業務に従事することが可能となります。

【産業分野1:外国特有の技能】

1号:外国料理の調理師

2号:外国特有の建築土木技能を有する大工

3号:外国特有の製品の製造や修理に従事する技術者

【産業分野2:日本よりレベルの高い技能】

4号:宝石や貴金属、毛皮などの加工職人

5号:動物の調教師

8号:スポーツ指導者

9号:ソムリエ

【産業分野3:日本に技術者が少数しかいない分野】

6号:海底鉱物探査や海底掘削の技術者

7号:航空機のパイロット

このように「技能」で従事することができる活動は様々な分野におよび、特殊な分野において特別な技能が必要な職種が含まれていることがわかるでしょう。

在留期間について

在留資格「技能」の在留期間は、5年、3年、1年または3ヶ月のいずれかになります。

上記のうち、どの在留期間になるかは、申請者や雇用する企業が決められるわけではありません。

基本的には出入国在留管理庁によって、就労予定期間や希望する在留期間、雇用主となる企業自体の規模や経営状態などを踏まえて、総合的に審査をして決定しています。

労働する外国人や雇用する企業への信頼度が大きく左右してくるでしょう。

とはいえ、「技能」は在留期間の通算上限などはありませんので、更新申請が許可される限り、長期間に渡って在留することが可能です。

家族帯同の可否

在留資格「技能」は家族帯同が可能となっています。

日本で働く外国人労働者の配偶者や子供に対して与えられる在留資格「家族滞在」の要件として、在留資格「技能」を有する場合でも可能となっているわけです。

ただし、無条件で認められているわけではなく、外国人労働者本人の配偶者や子供に限って、在留が認められる形になります。

そのため、外国人労働者の両親はもちろん、配偶者の両親などの帯同はできません。

特定技能・技能実習との違い

在留資格「技能」はよくその名前の類似性から、「特定技能」や「技能実習」と混同されがちです。

ここからはその違いを理解するために、「特定技能」と「技能実習」の概要について確認しておきましょう。

・特定技能とは

特定技能とは、就労系在留資格の一つであり、2019年4月に創設された比較的新しい在留資格です。

在留資格「技能」のような高度な技能を要する専門的な業務に従事することはできず、特定産業分野と呼ばれる12の分野において、比較的単純な業務に従事することができます。

・特定産業12分野とは

1、介護

2、ビルクリーニング

3、工業製品製造業

4、建設業

5、造船・船用工業

6、自動車整備

7、航空

8、宿泊

9、農業

10、漁業

11、飲食料品製造業

12、外食業

「技能」を含めた専門的・技術的分野の在留資格とは異なり、純粋に国内における人材不足の解消を目的として設けられたため、単純作業でも就労が可能になっているのです。

・技能実習とは

技能実習とは、開発途上国を中心とした諸外国から、技能習得を目的として来日する外国人が取得する在留資格です。

就労系在留資格の一つとして考えられますが、先述の通り日本の産業における様々な技能の習得を目的としており、厳密に言えば労働力として扱ってはいけません。

技能実習の対象となる分野は多岐に渡り、特定技能と重なる分野も多くなっています。

このように技能という共通の名称が使われているため混同しがちですが、3つの在留資格は目的も職種も大きく異なることがおわかりいただけたでしょう。

在留資格「技能」の取得要件

続いて在留資格「技能」の取得要件について確認していきたいと思います。

「技能」の取得要件は大きく2つに分かれているので、一つずつ見ていきましょう。

【要件①:報酬要件】

一つ目の要件は報酬です。

この要件は、「技術・人文知識・国際業務」などにもありますが、基本的には日本人社員と同等以上の報酬を支払うことが求められます。

「技術・人文知識・国際業務」についても詳しく解説していますので、気になる方は下記リンクをご覧ください。

「技術・人文知識・国際業務」の要件、対象職種について徹底解説

【要件②:実務経験年数】

二つ目の要件は、実務経験年数です。

「技能」は特殊な分野における熟練した技能が求められることから、実務経験が重視されることとなります。

各職種別に必要な実務経験年数を見ていきましょう。

・1号:外国料理の調理師

実務経験年数10年以上が求められます。
ただし外国の教育機関において調理や関連科目を専攻した期間を含めることができます。

・2号:外国特有の建築土木技能を有する大工

実務経験年数10年以上が求められます。

ただし、実務経験年数が10年以上ある外国人の監督下で実務経験がある場合は、5年以上あれば取得が可能です。
8号:スポーツ指導者

実務経験年数3年以上、もしくは選手としてオリンピックや世界選手権などの国際大会に出場した経験が要件となります。

・9号:ソムリエ

実務経験年数5年以上が求められます。

さらに国際ソムリエコンクールで入賞以上の経験をしているか、もしくは出場者が1国から1名に限定されている国際ソムリエコンクールに出場したことがある、ワイン鑑定などで法務大臣が認める資格を持っているといった要件が必須となっています。

・7号:航空機のパイロット

250時間以上の飛行経歴が求められます。

・3号:外国特有の製品の製造や修理に従事する技術者

・4号:宝石や貴金属、毛皮などの加工職人

・5号:動物の調教師

・6号:海底鉱物探査や海底掘削の技術者

これら4つの職種については実務経験10年以上が求められます。

教育機関などで実務に関する科目を専攻している場合は、その期間を含めることも可能です。

在留資格「技能」に必要な申請書類について

在留資格「技能」を取得する際に必要な書類は、外国料理の調理師としての活動か、それ以外の活動かで必要な書類が変わってきます。

詳しくは出入国在留管理庁のページをご参照ください。

外国料理の調理師としての活動に必要な資料
外国料理の調理師以外の活動に必要な資料

まとめ

今回は在留資格「技能」の概要や従事できる業務、取得要件について解説していきました。

特定技能や技能実習といった似たような名前の在留資格もあるので、わかりづらいですよね。

在留資格の申請等でお困りの際は、はやし行政書士事務所にご相談ください。

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